あたしの彼は『ヒドイ男』
 


「……ダイキライ」

「あ?」

聞こえているクセに。
こんな時まで聞こえないフリをして、誤魔化さないでよ。

ずるいよ、カズ。


「カズなんて、ダイキライ! もううんざり!」

そう叫んで、玄関に向かった。

「待てよ!」

掴まれた腕を、力いっぱい振り払う。
そして、声を振り絞るようにして、叫んだ。

「カズとなんて出会わなければよかった! ダイキライ!」

今日が何の日かも、一年前の約束も、全部忘れてしまうような愛の無いヒドイ男。
こんな男に惚れた自分が、バカみたいだ。


「えり子!!」


カズの低い怒鳴り声に耳を塞いで、私はアパートを飛び出した。


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