あたしの彼は『ヒドイ男』
 

十月十日。同棲して今日でちょうど一年。

そんな些細な記念日。
忘れられてても仕方ない。

でもね、私はずっと楽しみにしてたのに。

他愛のない口約束を信じて、ずっとこの日を待ってたの。

カズは口では『好きだ』とか『愛してる』とか言わないけど、でも、本当は私のことちゃんと好きでいてくれるって信じていたのに。


「カズの、バカヤロウ……」

言いながら持っていた缶ビールを一気にあおる。

口の中に流れ込んだきつい炭酸と鳴れない苦さに、むせて思いきり咳き込んだ。
夜の公園でひとり、涙目でゴホゴホと咳き込んでいると、

「えり子……?」

誰かが私の名前を呼んだ。


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