レッスン ~甘い恋の手ほどき~

ずっとここにいることもできなくて、いくらか気持ちを整えて再び戻ると、彼は出かけた後だった。



「華帆ちゃん、深谷さんが定時で上がっていいってさ。あの人と出で行ったよ」

「――はい」


私は想いを吹っ切るように、それから仕事に没頭した。今は何を考えても、落ち込んでしまうだけだから。



「山中さん、ここ違ってます。直しますね」

「もう帰っていいよ。あとは俺たちがやるし」

「いえ、たまには私にも手伝わせてください」



こんな時、一人になったら、泣くしかないから。
それは体で分かっていた。



泣くしか……。

私はやっぱり彼が好き。





< 178 / 253 >

この作品をシェア

pagetop