レッスン ~甘い恋の手ほどき~
何とか電車を降りて、部屋へと向かう。目の前に見える三日月が、私を闇から救い出してはくれないだろうか。
あと少しで部屋というところで、突然電話が鳴った。
――悠人さん。
心臓がドクンと飛び跳ねるのが分かる。私は意を決して、そのボタンを押した。
「――もしもし」
「華帆、今どこだ?」
彼の第一声は、焦るようなそんな声。
「どこって、もうすぐ家です」
「こんな時間まで、何やってた」
何故か、少し怒り気味の彼。
だけど、そんな声でさえ、聞けただけで涙がこぼれてしまった。
「残業を……」
「たく、定時で帰れって言っただろ。こんな時間に一人で出歩くなんて」
何だか、電話越しに彼の息が上がっている気がする。