レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「何かあったら、すぐに電話して。約束だぞ?」
まるで保護者のように、そう言ってくれる彼。
私が車から降りて頭を下げると、内ポケットからメガネを取り出して、それをかける。
それだけで、キリリと仕事モードにスイッチが入ったように見える彼は、少し心配そうな顔をして、去っていった。
一人、部屋に戻ると、突然空気が薄くなったかのように息苦しくなる。
何度か、ここにも来た修二さんの形跡を見つけては、ただ、ため息をつく。
一緒に見たDVD。
おそろいで買ったマグカップ。
確かに私達は恋人だった。
けれど、それはきっと見せかけの偽物で。
あとはただ、体で繋がった関係。
何時から、そんな風に道を外れてしまったのだろう。
じわじわと、しみ出すように溢れる涙。
それでも、歯を食いしばりながら、思い出の品を片付けていった。
もう、二人の時間が、戻ることは、ない――。