レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「華帆」
ゆっくりドアを開けると、スッと体を滑り込ませてきた彼。
ゴミ袋が積まれたその部屋を見て、私を見下ろす。
「何、してる……」
何って、あなたとの思い出を処分しているの――。
リビングのテーブルに、向い合せに座る。
彼の好きな濃いコーヒーを入れるのが、今日で最後だと思うと、いたたまれない気持ちになってしまう。
彼の前に、おそろいのマグカップではなく、客用のカップを差し出すと、一瞬眉間にしわを寄せた気がした。
「華帆。弁解はしない。すまなかった」
「えっ……」
てっきり、別れ話を切り出すのだと思っていた私は、彼のその言葉に拍子抜けした。