SCHUTZENGEL ~守護天使~
「私は以前、あなた会いたさに魔王を殺してくれと頼んだことがあったわね」

「あん? ああ、あのことか。それがどうした」

「どうしてあのとき、私の言葉に従ってくれたの?」

 愁いを帯びた瞳を見上げ、男はそれにやや険しい表情を浮かべた。

 稟とした顔立ちは二十代後半か三十代に入ったばかりにも思える。

 しかし、正確な年齢までは解らない。

 腰よりもやや長い黒髪に青い瞳、百九十センチほどの身長に正装をした男の耳は尖っていた。

 人種すらも把握出来ず、人とは異なる強く不可思議な存在感をまとっていた。

「それを聞いてどうするつもりだ」

「あなたと出会ったのは偶然だけれど、私に芽生えた感情は真実よ。あなたにはそんな感情は無いかもしれない。けれど、私は苦しいほどにあなたを愛している」

 あなた以外の者に想われてたところで、なんの意味も無い。
< 243 / 257 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop