SCHUTZENGEL ~守護天使~
「何が言いたい」

 男は若干、苛つき気味に壁にもたれかかる。

 神殿の入り口には二本の剣が交わる紋章が刻まれており、男の住む建物ではあるがここにいる事はほとんどない。

「それがこんな結果になるなんて、私はどうすれば──」

「俺が知るか」

 手で顔を覆うエルミに冷たく発し、彼女の向かいのソファに腰掛けた。

 冷ややかな言葉を吐きかけながら、そのまま立ち去らない所が彼らしい優しさだ。

「闇の王アレキサンダー。あなたの上位にあたるデイトリアに私は──」

「奴のことは放っておけ、どうせ気にしとらん。でなきゃ人間界なんぞで暮らせるか」

 鼻を鳴らして言い放つアレキサンダーにエルミは苦く笑みを浮かべた。
< 244 / 257 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop