SCHUTZENGEL ~守護天使~
*枝先の葉





 ──デイトリアと魔王の間に張りつめた空気が立ちこめる。

 互いに見合っているだけなのに、誰もが固唾を呑むほどの威圧的な何かが周囲に充満していた。

 肌をチリチリと焦がすほどのせめぎ合いが沈黙を続ける二人の間で行われているのだろう。

 見守る霊術士と魔物たちの表情は皆、一様に硬い。

「このまま戦っていても決着が着かない気がしてきたな」

 勇介は溜息を漏らしデイトリアを軽く睨みつけた。

「本気を出さないと人間を殺しにいくぞ」

 鋭い視線にデイトリアは眉を寄せる。

 その言葉が本心だとは思いたくないが、実行する気概は強く感じられた。

「手加減はするな。ただのひと振りで数百人死ぬことになる」

 言い捨てると剣を握りデイトリアに斬りかかった。
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