SCHUTZENGEL ~守護天使~
 デイトリアは力の限りの振りを剣で受け止める。

 その衝撃は二人の回りの地面を数十センチほど陥没させた。

 この闘いで一帯の地形は崩壊し大気は乱れ上空の風は強く舞っていた。

「すげえ。魔王相手にまったく引いてない」

 時折、飛んでくる石のかけらを避けながら久住は闘いを凝視した。

 闘いのすさまじさもさることながら、今までこんな力を隠していたのかと驚愕する。

「私が彼を歴史上の人物だと考えたのには理由があります」

 キャステルはデイトリアと魔王の動きを追いながら口を開いた。

「長く黒い髪は艶やかに、その眼差しは険しくも限りなく青く。素早い動きは鮮やかだったと」

 久住はそれに、なるほどデイに似ていると思った。

 魔王をあっさりと倒した人物なのだ、そこらの霊術士では想像し難い。
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