SCHUTZENGEL ~守護天使~
「彼の本当の瞳は赤い。しかれども、その力は彼に引けを取らないでしょう。もしかするとデイトリアスと彼は同じ──」

「同じ?」

「いや、何でもない」

 続きの言葉を飲み込んだ。

 その続きを彼は望んでいないと思ったからだ。

 デイトリアスとは親しい間柄ではないが、視線と会話を幾度か交わしたなかにある意図を読んでしかるべきだろう。

 眼前の闘いはすでに人智を越え、ここに留まる事さえ躊躇われるほどに激しさを増していた。

「人は神を求めるが、どうして存在までは認めないんだろうな。魔王になっても、俺は神の存在を否定している」

 勇介は競り合う剣越しにデイトリアを見据え、デイトリアもその瞳から逃げることなく見上げた。
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