透明水彩
…――お城…?
最初に思ったのは、そんなファンタスティックな感想。
でも本当にその外見は、まるで童話にでも出てきそうなお城で、異なった想像に違和感は増す。
けれど怯まず門に近寄れば、本来いるべきはずの見張り番は、そこには居なかった。
やっぱり、何かがおかしい。
本当にあたしを迎え入れるかの如く、無防備過ぎるアジト……
まるであたしが、今日のこのタイミングで1人、乗り込んで来ることを知っていたかのように……
そしてふと、思い出した理人の言葉。
確か理人は、この時代のあたしが死んだ頃、敵に機密がもれていたと言っていた。
おそらくその当時は、あたしが自害した件でその件についてはうやむやになってしまったのかもしれない。
けれどもし、その情報漏れが敵のスパイによって、故意に引き起こされていたとしたら……?
そうすれば当時の件の説明もつくし、今現在、あたしが1人乗り込んで来ることも、ある程度早く察知することができる。