透明水彩
両親が殺されてから、しばらく遠ざかっていた平穏が少しずつ戻ってきたような。悩んでいたことも考えていたことも渦巻く疑念も、全て忘れてしまえそうなくらいに穏やかな気持ちが胸を満たしていく。
「そーいやさ、小学生の時以来じゃない?こうやって、美凪と理人と私の3人で公園なんて行ったりするの。」
「…確かに。中学は、それぞれ部活とか何やらで忙しくなったし。」
「理人もいきなり生徒会とか入り始めたしね。超意外だったんだけど。」
他愛もない会話を交わしながら、ゆっくりと流れる時間。ゆっくりと歩む道。
どうしてあんなにも外へ出ることを案じていたのだろうと不思議に思えるくらい平和で、何もかもが以前と何も変わらなくて。
無駄に気を張っていた自分が、無性に馬鹿らしくなった。と同時に、両親のあの手紙にはやはり虚偽が含まれていたのかと、少しだけ訳がわからなくなった。