透明水彩

震える。胸が軋む。
こわいこわいこわい。


「……まぁ、いいでしょう。あなた方2人にも、死んでもらうまでです。」


混乱する意識の狭間、血で濡れたナイフが再び振り翳されるのがかろうじて見えた。

――あああ、あたしも殺される。

ただ漠然とそう思って、凄惨な光景が頭から離れなくて。

ギュッと目の前の理人のシャツを握りしめた刹那、その手は理人により固く握られた。

そして。


「……走るよ。」


ぼそり、と耳元で囁かれると同時に、ぐいっと強く手を引かれる。藍香も行動に移れたかどうかを確認するや否や、理人はその手を固く握りしめたまま、刺客から遠ざかるように駆け出した。

けれど、逃げるあたし達の背後から、あの男が追って来る気配を感じる。
目の前の理人の腕から時折垂れる血が、あたしに現実を突き付ける。
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