透明水彩
前を見据えた理人に引かれるがまま、廃材置場の奥へと足を運ぶ。たくさんの廃材が積み重ねられている中、周囲に注意を配りながら、さらに奥へ。
そして廃材同士の隙間が細い道のようになっていた間を通り、こじんまりとした、身を隠すには持って来いのスペースに3人で腰掛けた。
入口付近には理人、その横があたし。そしてそのあたしに寄り添うように藍香。
廃材に埋もれた薄暗い空間、廃材の隙間から漏れる光が唯一の光源になっている。
誰も何も発さない中、ビリッ、というような音に視線を向ければ、理人が自分の着ていたシャツを裂き、それで切り傷を縛り付けていた。
恐らく、まだ血は止まっていなかったんだろう。走ったせいで、余計に。薄暗い中でも、理人の顔色が悪いことは容易にわかった。
それでも2人は、今、あたしに何も問わない。そんな2人の気遣いと優しさに胸が苦しくなって、蹲った姿勢のまま強く膝を抱きしめた。