透明水彩
それぞれの疑問や困惑で混沌とした沈黙が渦巻く中、刻一刻と時間だけが過ぎていく。正確な時間を確かめることもないまま、ただじっと息を潜めていた。
そして、どれくらい経ったかはわからないけれど。差し込む光が徐々に夕焼けに染まり始めた頃、あたし達の心境にしだいに安心感が大きくなってきたのは明らかだった。
これだけ時間が空けば、これだけ隠れていたのが見つからなかったのならば――…
もちろん、全ての不安を拭い去った訳ではない。けれど、きっと、もう。
うまく撒いて、ここにたどり着くことができた。あの男が未だ自分達を……否、正確にはあたしを探し続けているなんて、考えにくかった。
「……そろそろ、出てみようか。」
ぽつり、と零された理人の言葉に、あたしと藍香は小さく頷く。そしてゆっくりと腰を上げた理人に続き、狭い通路を慎重に引き返した。