透明水彩
時折肩や腕にぶつかる廃材が、カタリ、と小さな音をたてる。音が鳴るその度、微かにびくつきながら進めば、視界は徐々に茜色に染まっていく。
薄暗い空間から外へ、目を刺激する茜色に若干目を細めた刹那、これ以上進むのを止めるように、理人があたしの目の前へと手を翳した。何事かと問い掛けようとしたあたしの耳に、
「……みーつけた。」
同時に届いた、粘着質な聞き覚えのある声。前方から聞こえたその声に、ビクリ、と肩が跳ねる。ゾワリ、と鳥肌が立つ。
「隠れているのを探すより、出て来るのを待っていた方が、余程効率がいいですよねえ。特に、このような局面なら尚更、ね。」
目の前の理人のさらに前、そこには。
廃棄しやすいよう、綺麗に並べられた廃材の上に腰掛ける、さっきの刺客。
手でナイフを弄びながら、先程とは別人のような鋭い目つきで、口元だけをニヤリ、と吊り上げていた。