透明水彩
「……理人の、怪我は?」
「ああ。すぐに病院に連れて行ったが、とりあえず7針縫う程度ですんだよ。血が止まらないようで心配してたんだが、神経を傷つけた訳でも無いし、もう血も止まっているし、後遺症も残らないだろうって。」
「そっか、……」
あたしを庇って負った傷。
本来ならば傷つくはずのない理人、あの時はあたしが刺されてたはずだった。それなのに、7針……。後遺症がどうのこうの関係なく、結構な怪我。
「怪我のことは気にしないで。俺が勝手に刺されただけだから、美凪が負い目を感じる必要は無いよ。って、今のは理人君からの伝言だ。」
思わず俯いたあたしを気遣うように、叔父さんはゆっくりと理人の伝言を紡ぐけれど。
今はただ、痛い。
理人や藍香の思いやりも、優しさも。
叔父さんの気遣いも、穏やかさも。
ただ鋭く、それこそ鋭利な刃物のようにあたしの心を抉る。間違いなく非があるのはあたしなのだから、全てあたしが悪いのだと、あたしのせいなのだと、そう言及して責めてほしかった。きっとあたしには、その方が楽だったと思うから。