透明水彩
それに加え、よくよくあたりを見渡せば、廃材の配置も昨日とはだいぶ違う気さえした。
「ナギ?」
「………へ?」
「へ?じゃねーし。ボケッとしてんなよ。入るぜ。」
「入るって…、」
湊の声で再び一気に思考は引き戻され、突然の言葉にまた困惑する。でも隣の莱という少年が、カードらしきものを廃材の山に埋め込まれたプレートに翳すのが見えたのと同時に、微かに響いた轟音に遮られ、紡ぎかけた言葉を飲み込んだ。
…――そして突如現れた、大きな穴。
目の前にある、地下へと続く階段。
暗くて、どこまで続いているのかは定かではないけれど。
「……にしても莱、お前いきなり静かになったんじゃね?」
「…余計なお世話ですー。」
「あっそ。」
何の躊躇いもなくそれを下りていく2人に連れられながら、あたしは一言も発することなく2人の会話を聞き流すことくらいしかできなかった。