透明水彩
◆◆◆
「あー、重かった。」
階段を、時間にして3分ほどおりた頃、辿り着いた大きな扉の前であたしはようやく地に足をつけることができた。
両手を頭上に掲げ、思い切り伸びをしながら余計なことを口走る湊に一瞥をくれ、あたしは視線を莱という少年に向ける。
「……ここが、目的地?」
「え? あぁ、はい。そーですよ。……まあ、ここに突っ立ってるのもアレなんで、とりあえず入りましょうか。」
突然のあたしの問いに一瞬驚きつつも、彼は淡々と言葉を紡ぐ。そして重たそうな扉を押し開けながら、あたしに入るようにと促した。
だからそれに従って足を踏み入れれば、明るい光が瞬間的に目を刺激する。そして徐々にはっきりとしてきた視界、目に映る光景に息を呑んだ。
「うっわ。すっご……」
現在地の扉から続く、途中数箇所に及んで分岐する長い長い廊下。廊下とつながる、たくさんの部屋。突き当たりにある、エレベーターらしき装置……。
全てが普通とは言い難くて、思ったことを唾と一瞬に飲み込んだ。