透明水彩

「…………っていうか、地下にこんな施設なんてあったっけ?…っていうより、ここって何?」


こんな施設の存在なんて、今まで見たことも聞いたこともない。不審さを隠し切れずに少年に問いかければ、彼は貫いてきた無表情のまま簡潔に答える。


「5年前くらいですかね、作られたのは。ちなみにここは、これから美凪サンがしばらく滞在するであろうアジトです。」

「……5年前? っていうか、アジト?」


5年前なら確か、まだ工場は潰れていなかったはず。それなのに、こんな大規模な施設を作っていた?

しかもアジトって……。

あまり聞き慣れない単語に、余計困惑は深まる。いや、もちろんその言葉の意味自体はわかるのだけれど。


「そう、アジト。詳しくは後でって言っただろ。奥の部屋で、みんなナギを待ってっから。」

「は?」


後ろから突然会話に参入してきた湊の言葉は、さらにあたしを困惑の中へと押しやった。
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