透明水彩

大広間でひとり困惑するあたしを迎え入れたのは、間違いなくあたしがよく知る人物達だった。けれどみんな、誰ひとりとして例外なく、あたしが知る姿とは違うナリをしている。

…――そう、1番最初に会った、湊と同じように。


「こいつ、何にも知らないみたいなんすよ。自分がタイムトラベルしてきたことも、そのリングのことも。」


呆気に取られ、ただ立ち尽くすあたしの横、まるで何でもないことのようにサラっと爆弾発言をする湊。

当然聞き流すこともできず、部屋にいる1人1人を見回していた視線を、勢い良く湊へと向ける。


「タイムトラベルって……、」

「ここは君がいた時代から7年後の世界だよ、美凪。」


でも紡ぎかけた問いは、湊ではない違う人物に答えられ、あたしは問いを言い切ることなく口を噤んだ。

そしてその聞き慣れた声に視線を向ければ、案の定、そこにいたのは理人。

昨日と比べて明らかに大人びた理人を見て、不意に理人の怪我のことが頭を過ぎり、ちくりと胸が痛んだ。
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