透明水彩

でもそれもほんの一瞬で、あたしの頭にはまた違う困惑と不安がひしめきだす。

…――あたしが今いる世界は、7年後の世界。
お父さんの装置で7年後にタイムトラベルをした、だなんて。
あの白い装置は、タイムマシーンだったの?
安全な世界って、未来のこと?

にわかには信じがたい話だけれど、目の前にいる年上となってしまった同級生の姿を見たら、一概に否定はできない。


「君は過去から、両親の研究によって生み出された装置によって、この世界に飛ばされたんだよ。」


頭の中で必死に状況を整理しようと試みるあたしの耳に届く、理人の声。

でも、両親が“安全な世界”だと銘打った世界が未来だったなんて、誰が想像しただろう。できただろう。


「……何で7年後のこの世界が、あたしにとって“安全な世界”なの?」


何年経とうが、あたしが変わる訳じゃない。
例えいくつ歳を重ねたとしてもあたしはあたしだし、あたしがお父さんやお母さんの娘だというのは紛れも無い事実。

何も変わらない状況のはずなのに、この世界が安全だという意味が全くわからなかった。
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