透明水彩
「……そっか。」
あたしは結局、やっぱり、2人を巻き込んでしまっていたのか。この時代のあたしは、一体何をしてたの。今のあたしと、考え方が違っているとでもいうの?
「…――ねえ、ケイ。」
「ああ?」
「この時代のあたしは、みんなを巻き込んでまで自分が助かりたかったのかな?っていうか、何でこんな状況になったの?このリングは、一体何?」
あたしが矢継ぎ早に紡いだ数個の問いに、刹那、沈黙が室内に広がり始める。気まずい雰囲気が漂いかける中、問いに答えるべく口を開いたのは、やっぱりケイだった。
「……この時代の美凪は、他の奴らを犠牲にして自分が助かりたいだなんてこと、微塵も思っちゃいなかったぜ。」
そしてゆっくり、ゆっくり。
あたしに間違いなく大きな衝撃を与える事実を、ただひたすらに吐き出していく。
まるで、自分自身を責めるように。
「……この世界が安全だといえる、絶対的な2つめの理由。それは、この世界にはもう、美凪が“存在しない”からだ。……その意味が、わかるか?」
あたしに、その内容を理解する暇さえ与えないままに。