透明水彩
「抗争の理由は……?」
「ああ。そのリングと美凪、お前の処遇をめぐっての対立が主たる原因だ。」
ケイの言葉に、ずきり、と鋭い刃物で心を抉られたような気がした。
だって、やっぱり。
ここにもあたしが関係していた。あたしの存在のせいで、たくさんの人を巻き込んだ。
「…――美凪ちゃん。」
深い深い闇に落ちていきそうだった気持ちは、不意に耳に響いた聞き慣れた声によって引き戻される。はっとしていつの間にか俯きかけた顔を上げれば、声の主は微笑を浮かべた叔父さんで。
「秋臣兄さんが死んでから、俺も俺なりに調べてみたんだ。それで色々なことを知った。この組織のことも、そのリングのこともね。」
「じゃあ……、」
「ああ。」
あたしの問いを察したのか、叔父さんは笑みを消し軽く頷く。そして小さく息を吐いた後、ゆっくりと口を開いた。
あたしに、あたしが今まで知り得なかった事実を伝えるために。