透明水彩

「そのリングは簡単に言うと、美凪ちゃん専用に組織…いや、兄さん達が作った“兵器”なんだ。」

「兵器? …――っ!」

「思い当たることが、あるみたいだね。」


叔父さんの言葉により、脳裏に鮮明に蘇る昨日の出来事。
困惑とかそんなんじゃなくて、ただ、燃え上がる刺客の姿がまざまざと映し出される。


「……人は、それぞれ特有の波動を纏っている。それも、兄さん達の研究の一部だった。そしてそれを利用したのが、そのリング。美凪ちゃんの波動をエネルギーに変換して、対象のみを燃やし尽くす。」


そして、確信する。
やっぱり昨日の自然発火は、あたしとリングのせいだったのだ、と。

そんな兵器や、訳のわからない波動のせいで、あたしは人を1人殺めてしまったのだ、と。


「……何でお父さん達は、そんなのをあたしに?」

「それは本人じゃないから正確にはわからない。けれど恐らく、次期ボスになるであろう娘への贈り物だったんじゃないかな。まぁ不幸にも、それが原因で抗争が起きてしまった訳だが。」


そこまで言って叔父さんは、悲しみを隠すように自嘲的な笑みを零した。
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