透明水彩
―――けれど。
「……ダメだよ。」
「理人?」
不意に口を開いた理人の声に、あたしの視線は理人へと向けられる。視線が絡んでから数秒後、理人が再び口を開いた。
「今戻ったって、何も変わらない。変わっていない。それ以前に、美凪は狙われているままなんだ。…――だから、帰すわけにはいかない。」
「…! だったら!だったら、いつ戻れるの?あたしがこの時代にいる限り、あたしの時代に関して、何にもできないんだよ!?それこそ、何にも変わらない。」
理人に半ば掴みかかるような勢いで、若干取り乱してしまったあたしの肩に、ポン、と優しく置かれた手。
勢いを削がれて振り返れば、叔父さんが優しくあたしを見下ろしていた。
「変わるんだよ、美凪ちゃん。」
「叔父さん……。」
「秋臣兄さんと優美さんは、抜かりのない人達だからね。ちゃんとその件に関して、手は打ってあったんだよ。」
そしてゆっくりと紡がれていく言葉に、あたしはただ耳を傾けた。