最後の恋


「どうっすか?」


そう言った椎名の声に黙って頷きながら、私は繋いでいた手をギュッと握る。


「初デートやし、なんか思い出に残ることしたいなって思って。でもほんま寒かったっすよね、それだけが誤算でした」


だけどそう言って苦笑いを浮かべた椎名に、私はすぐに口を開いた。


「寒かったけど…まさかこんなキレイな雪が見れるなんて思わなかった。連れて来てくれてありがとね」


「はいっ!」


私がそう言うと、顔をくしゃくしゃにしながら椎名は笑った。

その顔がほんとに可愛くて…隣にいられることをすごく幸せに感じた。


年の差もあんな過去も。忘れられた。


椎名といると、幸せな気持ちになれた。



ずっと続けばいいのに。

こんな瞬間が、ずっとずっと続けばいいのに。


椎名の笑顔を見上げながら、心の中でそう思った。


永遠なんてもの、ほんとにあるのかは分からないけど。

だけど少しだけ。ほんの少しだけ期待したくなる。

ずっとこんな瞬間、幸せな気持ちが続きますように…なんて。

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