最後の恋


「行きたい店があるんですけどいいですか?」


歩き出してすぐ、私を見下ろしながら椎名はそう聞いた。


「うん、いいよ」



今日は夜7時に椎名がイタリアンのお店を予約しているみたいだけど、それまでの時間は特に何も予定はない。


「何のお店?」

「ん?まだ内緒」


子供みたいイタズラっぽく笑う横顔。

内緒ってどこに行く気?


そう思いながら歩き続けると、とある路面店の前で椎名の足が止まった。


えっ?ここ?


そこは有名な某ブランドのショップだった。


ショーウィンドウの向こうにはキラキラした指輪やネックレスがたくさん光っている。


「ここです」


椎名に手を引かれながら踏み入れた店内は真っ白で華やかで。


「綺麗…」


思わず心の声が勝手に出てきた。



「莉奈さん今月誕生日やったやん?」

「あ、うん…」


椎名は手を繋いだままお店の中をゆっくりと回る。


「それに二人で初めて一緒に過ごすクリスマスやから」

「うん」

「プレゼント。どれがいいか選んで」


えっ?


「えっ、あ、いいよ、そんなの」

「あかんって。プレゼントしたいねん、俺が」


そう言われて戸惑っていた時、女性店員が私達にそっと近付いてきた。


「プレゼントですか?」


そしてそう言ってニッコリと微笑む。


「はい、付き合って初めてのクリスマスなんです。何かオススメのものとかありますか?」


「あっ、付き合って…あ、ハイ、こちらなんていかがでしょうか?」


椎名の言葉に、女性店員が私のことを二度見したことを私は嫌でも気付いてしまった。

付き合ってるように見えない?

やっぱり歳が離れて見える?


気にしすぎなのかもしれないけど、二度見されたことで気分は決して良くはなかった。


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