最後の恋
言わなきゃよかった。
どうして言ってしまったんだろう。
引かれた?
重い女だと思われた?
運ばれてきたホットコーヒーの湯気を見つめながら、カップを手に取り少しだけ飲んだ。
椎名はミルクと砂糖を二杯、カップに入れている。
どっちも入れるんだ。
そう思いながらふと浮かんできたのは、サトルのことだった。
サトルは、私と同じでブラックを飲む。
甘いものは苦手な人だった。
私と椎名は、やっぱり合わないのかな。
年の差だけじゃない。
結婚への考え方とか価値観とか。
きっとしたいタイミングとかそういう時期は確実にズレている。
私がまだ25とか。それくらいの年齢ならこんなことはきっと考えることもなかったと思う。
でも、私もう29歳なんだよ。
来年には30歳。
結婚適齢期ってやつも過ぎてるんだ。
結婚……。
やっぱりしたいよ。諦めたくない。
子供だって産めるなら生みたい。
だけど…叶わないかもしれない。
……この人じゃ。
目の前の椎名を見て、心の中でそう思ってしまう。
サトルなら?
サトルなら…結婚…できるんだよね。