最後の恋
「椎名君?」
その時だった。体がビクッと反応する。
「えっ…松永さ…」
とんでもない偶然だった。
あの早川さんが店員に案内されて私達の座る隣の席に座ろうとしている。
だけど私達の姿に驚いたのか、突っ立ったままこっちを見ていて。一緒にいた友人らしき女の子が慌てたように早川さんを席に座らせた。
シーンとする空気。気まずくて耐えられない。
「ウソでしょ椎名君」
そんな中、一番最初に口を開いたのは早川さんだった。
「彼女が出来たって言ってたあれ、まさか松永さんじゃないよね?ねぇ、松永さん、違いますよね?」
「えっ…あ…」
「ごめん莉奈さん、もう言うわ」
「えっ、ちょっと」
「ごめん早川さん。俺たち付き合ってる。俺が莉奈さんに付き合って下さいって言った」
椎名がそう言うと、早川さんはクスッと笑う。
「椎名君」
「ん?」
「松永さんの年齢わかってる?29歳だよ?30前なんだよ?」
早川さんは私が会社の先輩だってことも全く気にせずに目の前で椎名にそう聞く。