最後の恋
「分かってるで」
「分かってないよ」
「何が?」
「今はいいかもしれないよ?でもさ、椎名くんは結婚とかする気あるの?松永さんは結構な年上なんだよ?軽い気持ちで付き合うような相手じゃないと思うんだけど」
言われたくないことを、ズバズバと投げつけるみたいに早川さんは口にする。
「別に軽い気持ちで付き合ってるわけちゃうし…もう行こう莉奈さん」
椎名はそう言うと、テーブルの伝票をサッと取り足早にレジへと向かう。
「最低ですね松永さん、私のこと笑ってたんですか?バカじゃない、椎名君は私のものなのに、とか思いながら」
ジロッと睨むような目つきで早川さんは私をジッと見ている。
「そういうつもりは…」
「じゃあどういうつもりだったんですか?」
「それは…」
「ほら。やっぱりバカにしてたんでしょ?でも一つだけ失礼を承知で言っておきますね。絶対うまくいきませんよ。23の若い男が結婚なんて考えるわけないし。付き合ってても時間の無駄だと思います」
そう言われると、返す言葉が見つからなかった。
黙って席を立ち、椎名とお店をあとにした。