最後の恋
「まだ仕事中?」
仕事を終えて会社を出ると、すぐに私は椎名に電話をかけた。
「莉奈さんから電話くれたん初めてや」
すると椎名は嬉しそうにそう言った。
初めて?そういえば…そうかもしれない。
「いつもかけようとしたら椎名がかけてくるから」
「ははっ、確かにそうっすね。でも嬉しい!仕事はもうすぐ終わるけど。あと30分くらいかな?」
「そっか」
明日から一週間近くは会えない。
そう思うと、実家に帰る前に椎名に会いたいと思った。
「今日…終わったらうち来れる?」
「え!うん!行ける!行く!行きたい!」
いつだって椎名は反応が可愛い。
電話越しなのに、ニコニコしてそうな顔が頭に浮かんだ。
「じゃあ私、今日ごはん作るよ」
「マジ⁉︎やばいめっちゃ嬉しい!」
「じゃあ…急がなくていいから終わったら来てね」
「うん!」
そうして電話を切った私は、足早に家路を急いだ。