最後の恋
「お母さん。
私は一人っ子だから、お母さんはお母さんでもあるし、友達のような存在でもあります。小さい頃からとにかく何でも話をしてきたような気がします。
楽しかったことや面白かった話、いつも一番にお母さんに話してたよね。毎日のあの時間が本当に私の楽しみでした。
でも、苦しかったり悔しい思いをした時はなかなか話せなくて。だけどお母さんはそんな私に気付いてくれて話しやすい雰囲気で私の話をいつも聞き出してくれました。
いつだって私を理解してくれて、力を与えてくれて助けてくれてたのは、お母さんだったんだよ。厳しいお父さんの隣で、いつも優しく見守ってくれていたお母さんのような人に、私もいつかなりたいです。
お母さんのような……お母さんになりたいです」
おばさんは、ハンカチをずっと目頭に当てながらエリの言葉を聞いていた。
「お父さんとお母さんがこの時代に私を生んでくれたからシンさんと出会えました。
今日ここにいるたくさんの大切な人たちに出会えました。
お母さん、生んでくれてありがとう。
お父さん、楽しかった思い出を沢山作ってくれてありがとう。
愛情をいっぱい注いでくれてありがとう。
今日まで育ててくれてありがとう。
これからは、シンさんと二人で幸せな家庭を築いていきます。どうか温かく見守って下さい。
そして……最後になりましたが、
シンさんのお父さん、お母さん、私を家族の一員として迎えてくれて、本当にありがとうございました。
シンさんの支えとなるよう頑張りますので、これからもどうぞよろしくお願いします」
エリがそう言って手紙を読み終えると、隣にいるシン君はエリと共に深く頭を下げた。