恋した鬼姫
約束
だが、虎があの神社に着いても、セラはいなかった。虎は、考えた。
追い越したとしても、いくら何でも遅すぎる。まさか、関所で捕まったのかと心配になり神社の前でウロウロしていた。
「…虎様?」その声は、正しくセラの声だった。

虎とセラは、目が合い一瞬時間が止まった気がした。そして、セラはハッと気づくなり、後ろを向いて逃げようとした。

虎は、慌ててセラの頭上を高くジャンプして、セラの目の前に立ったと思ったら、突然土下座をした。
そんな虎に慌てて、セラはしゃがんで虎の行動を止めた。

セラの手が、虎の肩に触れた途端、虎はセラの手を掴んだ。セラは、少し逃げ腰になったが、虎にそのまま引っ張られるまま、虎の大きな腕に包まれ、抱き締められた。

セラは、固まって何が起きたのか分からなかった。
虎は、セラを抱き締めたまま、セラの耳元で囁いた。
「俺は、自分が恥ずかしくてたまらん。お前がいなくなるほど、傷つけていたとは、すまなかった。」

セラは、虎が必死で自分を追いかけて来てくれたことに、とてもうれしくなり、泣きながら虎にしがみついた。

だが、虎は慌ててセラを引き離した。セラは、キョトンとなった。虎から抱き締めて来たのに、いきなり引き離すのだから。

セラは、見上げて虎の顔を見ると、虎の顔は真っ赤になっていた。

「虎様、大丈夫ですか?顔が真っ赤ですけど、具合が悪いのですか?」

虎は、慌てて首を振った。

セラは、虎の体が心配になり、取り合えず虎に神社の中に入らないか聞いた。

虎は、黙ったまま立ち上がった。
セラは、虎の手を握り、ニコッと笑った。

虎は、ドキドキが余計に激しくなった。
そして、セラに気持ちを伝えなければと焦っていた。

神社の部屋の中で、二人は寄り添って座った。だが、虎の右半分の体は、寄り掛かっているセラの体が当たってるだけで、燃えるように熱くなっていた。

不思議と二人は、黙ったままだが、幸せな気持ちで一杯になった。

虎は、言いたい事を上手く言えずにいた。そして、いきなり大きく深呼吸をすると、セラの方を見た。
「一緒に海に行かないか?」

「海ですか?!話には聞いていましたが、一度行って見たかったのです。」セラの顔が喜んだ。

「よしっ!では、明日海に行こう。」
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