カラス君と黒猫さん
「そのお兄さんって、今何歳なの?」
「あー・・・・・・いくつだっけなぁ。お前とそう年は変わらないんじゃねぇの?まぁ、絶対兄貴の方が年上だけどな」
「それ位分かるよ。黒猫さんのお兄さんだったら年上しかないでしょ」
(・・・・・・・雅に聞いて分かったことは、・・・・お兄さんが黒猫さんを探してるって事。)
あとは雅に何聞いても無駄足かもしれない。
「ん、そうだ。結構前に黒猫さんが、“雅が働くかっけー理由”とかを堂々と話してたよ。あれって、何?」
雅の咥えていた煙草の灰が落ちた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・アイツそんな事お前に教えてたのか・・・・・」
がくり、と項垂れる。
「理由は雅に聞けって言われたけどね。今思い出した」
項垂れた雅の顔を覗くと、その顔は引き攣っていた。
「希望ある高校生にちゃんとした理由を話してね」
「・・・そう言う時に高校生を使うな・・・・・・俺は、何て言うか・・・・。こう、働くとかそう言う繊細な仕事は大っ嫌ぇなんだ。経済とか、株とか、全く分かんねぇ。」
確かに、顔にでっかい古傷があって、色黒金髪坊主がレストランとか経営してたら気持ち悪い。そこは納得する。
「じゃあ何でこんな面倒事が多そうな店経営してるのさ」
「・・・・・・・・・・・お・・・・・ろ・・・・・・・・。」
雅から発せられた物凄い音量の小さい声は、俺に届かなかった。