カラス君と黒猫さん




「おろ?何言ってるの?もっとちゃんと話してよ」


もう一度聞くと、今度は馬鹿でかい声で雅は叫んだ。




「おっ・・・・お袋が病気して今、医療費とか貯めてんだよ!言わせるな、バッカ野郎」



赤面して、もう一度煙草を咥え直す照れたやくざは物凄く気持ち悪い。


だけど、



「・・・・もっかい言って」

「うわああああ!言うか!!俺はもう言い切ったからな!」



雅から、“お袋”の言葉が出てきた。


しかも、医療費って。




「雅、やっぱ黒猫さんが言ったとおりかっけーよ。」

「あああ照れくさいだろ!やめろ気持ちの悪い」


またぽろりと煙草の灰が落ちた。




「・・・・・・・ガキん頃散々迷惑かけたからな・・・・・、せめて少し親孝行はしようかと」

「雅カッコイイ」



これぞ、息子の鏡だ。
やくざだけど。




「雅の事見直したよ。まさかそんな孝行息子だったとはね。」

「・・・・・・もう二度と話さねぇ・・・・。恥ずか死する」

「恥ずか死?」



照れる雅はいつもと違って新鮮だ。



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