カラス君と黒猫さん
それから散々雅をいじって、いじって、いじりまくってからLAURAを出る。
外はもう真っ暗で、体が痛くなるほど寒かった。
吐き出した息が白くなる。
「・・・・・・・・黒猫、さん・・・・・」
お兄さんの件があってか、何故か妙に不安だ。
(大丈夫だよね、鍵掛けてたし)
あぁ、やっぱり着いていけば良かった。
「あの、落ちましたよ」
突然後ろからした声に慌てて振り返った。
俺より背が高い男の人。
「あ・・・・・・・・、ありがとうございます」
落ちていたらしく、俺の財布を手渡しされる。
「どういたしまして」
その人は少し笑って、一直線に横断歩道を渡り、歩道へ消えていく。
(良かった、親切な人で)
と言うより少し自分が無用心すぎたかな。
チェーンも考えておこう。