カラス君と黒猫さん






それから散々雅をいじって、いじって、いじりまくってからLAURAを出る。



外はもう真っ暗で、体が痛くなるほど寒かった。

吐き出した息が白くなる。




「・・・・・・・・黒猫、さん・・・・・」


お兄さんの件があってか、何故か妙に不安だ。


(大丈夫だよね、鍵掛けてたし)


あぁ、やっぱり着いていけば良かった。





「あの、落ちましたよ」


突然後ろからした声に慌てて振り返った。



俺より背が高い男の人。



「あ・・・・・・・・、ありがとうございます」


落ちていたらしく、俺の財布を手渡しされる。


「どういたしまして」


その人は少し笑って、一直線に横断歩道を渡り、歩道へ消えていく。



(良かった、親切な人で)


と言うより少し自分が無用心すぎたかな。
チェーンも考えておこう。



< 200 / 223 >

この作品をシェア

pagetop