カラス君と黒猫さん
複雑な心境のまま、駅に向かって切符を買う。
まだ10月ちょっとなのに、やっぱり夜は寒い。
改札口を通ってちょっと歩いた所の、人が少ないホームで俺と黒猫さんに沈黙が流れた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
(・・・・・・息苦しい)
この沈黙を誰か破ってくれ、と思ったところ。
「カラス君、駅、どこ?」
「・・・・・・、あぁ、2駅次の・・・・・」
「そう。私と同じだ」
黒猫さんは相変わらず寒そうに身体を縮めて電車を待つ。
表を見てみると、あと3分。
・・・・苦し紛れの質問だ。
「黒猫さんって、部活入ってるの?」
「・・・・・・ううん。1年生の頃強制参加だったから、少しだけ吹奏楽部に入っていた位。カラス君は?」
「俺は茶道部に入っていたような。一回も行ってなかったけど」
「あぁ、私もそんな感じだった。部活って面倒臭いよね」
「しかも『どの部活にも入る気がないなら、部員が少ない茶道部に入れ』って顧問が勝手に決めて。」
「で、結局行ってなかったんでしょ?その顧問も気の毒だね」
黒猫さんが苦笑する。