カラス君と黒猫さん
少しして電車が来て、またくだらない話をしながら乗っていたら二駅はあっという間に過ぎた。
話はきっかけがないと苦しいけど、盛り上がると終わらない。
“部活について”だとか“目玉焼きに何をつけるかで喧嘩になる人を見ている気分”とか本当下らないこと。
「私の家、駅から近いからここでいいよ。お疲れ様、またねカラス君」
「あぁ、また。」
そう話しているうちに、駅から離れた所で黒猫さんが俺に手を振る。
それに応える。
「カラス君、学校でもそんな風に笑ってよ」
振り向かず進んでいきながら、そう言った黒猫さんを見送りながら。
「・・・・・・・うん。今度、その意味を教えて」
「ばいばい」
(黒猫さんは、むずかしい)
「・・・・・・・こんな風に、笑う。ねぇ・・・」
曲がり角で、小さな黒が見えなくなって、俺は反対方向の道に歩きだした。