問題山積み
しまった。私、モンブランの存在忘れてた。


「私もモンブラン取ってくれば良かったあ」

「私、シュークリーム取りそびれちゃった。後で取りに行かなきゃ」

「そうだねー」


喋りながらも、フォークを握る私達の手は止まらない。
美味しいもの、特に甘いものを食べている時の至福って、何物にも替えがたい。
2000円でお釣りが来るくらいのバイキングなのに、成る程、テレビで特集されるだけあって、味はどれも特級。
普通のケーキ屋さんのそれと大差ない気がする。
このお店、当たりだな。また来ようっと。


「あっ、そうそう。亜樹ちゃんに報告したいの!」


愛里ちゃんが、急に声を張り上げた。
おっとりした愛里ちゃんがそういう顔をするのは稀なこと。
私のフォークは、皿の上でぴたりと急停止。


「なあに?」


私が尋ねると、愛里ちゃんはぱあっと表情を輝かせた。


「あのねっ、新しい彼氏ができたの!」
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