開国維新の洋魔戦記
手代木が旅館のお湯からあがると、部屋には浴衣姿の妹が二階の窓に腰掛けていた。


手代木が手拭いを干して、妹に声をかけた。


「湯加減はどうだった」


言いながら、妹を見たとき、窓越しに大きなコウモリが見えた。


コウモリは妹を足で掴むと連れ去ってしまった。


あっという間の出来事だった。


手代木は我に返ると素戔嗚尊でその後を追ったが、彼の体と素戔嗚尊をつなぐ糸はすぐに限界まで伸びきってしまった。


自分が動かないでのこれ以上の追跡は無理だった。


『田母神の話しではコウモリ型の神は洋魔に取り込まれている神もいるから、敵の可能性が高い。

妹を取り戻さないとならない』


と思った。


手代木は荷物をまとめると妹が連れ去られた方向に向かった。
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