暗がりの夜だから


彼女の怯える声が高まったとき、俺ははしごを上りきり、瞳に彼女を捕らえた。

色白で、大きな瞳はあまりにも無垢なもので…、この世のものとは思えないほど美しく、可愛らしかった。

ただ、正体を現した俺を見ても、俺の胸に閉じ込めてみても、ハロウィンを口実にキャンディを与えてみても―…

彼女の瞳の奥の悲しみは消えなくて…。

< 108 / 164 >

この作品をシェア

pagetop