暗がりの夜だから


私は胸元のネックレスをぎゅっと握る。

「…秘密のパヒューム…、コルクなくしちゃっ…て…っ……」


いつから私はこんなにも涙もろくなったのだろうか。

義父のもとで泣かなかったことが本当に不思議なくらい。

瞳からこぼれてやまない涙は、そっと來斗の指先によって拭われる。

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