イケメン大奥
「ローブにお着替えください。わたしは出ていきますから」
あれ? 一緒に休むのでは……思う間もなくレイが部屋を出る。
期待外れ、ちょっと、ね?
ノロノロと用意された緋色のローブに着替えて、ベッドの中へ。
ひとりじゃ、広すぎるよ、このベッド。
そう思って拗ねていたら、レイが戻ってきた。
「これを手に当ててください」
氷枕。ベッドの中央に置く。
そしてあたしたちは向かい合うようにベッドに横たわった。
「レイ、冷たくない?」
氷で冷えちゃうよ?
「いいえ、
こうして、見守って居られますから」
甘い言葉に、あたしは、ぎゅうっと手首を氷枕に押し付ける。
あたしね、レイに恋しちゃいそうだよ。
顎も腕も指も、しっかりとして男の人のものなんだもの。
綺麗だけど強くて、あたしよりも
ずっと強くて見守られると、手首の痛みは治まってきているのに、
ぽろぽろと
泣いてしまうの。