シンクロニシティー


 けれど、例え古びたラブホテルだろうと、休憩コースだろうと、一旦入室すれば料金は発生する訳で。

 それでセックスをしなかったら、お金をドブに捨てるようなものだ。



「レイジ、ごめん。私もうレイジとはできない」

「ん、わかった。お前が嫌なら何もしねぇから。ただ、二人きりになれる場所っつったらラブホしかねぇだろ? 今、ルミコ、部屋で寝てるし」

「絶対わかってない。『二人きりに』ってそんなの、男が女をラブホに連れ込む時、決まって言うセリフじゃん」


 頑として車から降りようとしない私に、同じく運転席に座ったままのレイジが大きな溜息を吐き出した。


「ほんとに何もしねぇって。ただ、ゆっくり話がしたい。お前とは……ちゃんと話したことなかったろ? その、俺たちのことについて」

 珍しく真顔で真っ直ぐ私を見詰めるレイジの瞳は、嘘を吐いているようには見えなかった。


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