シンクロニシティー
咄嗟に、思いっ切り神崎を両手で突き飛ばした。ガシャンと大きな音を鳴らして、神崎はリビングのドアに背中を激しく打ち付けた。


「てっめー」

呻くように口にして、神崎は私の髪を鷲掴み、そうして乱暴に揺らす。

引きちぎられるような鋭い痛みに、視界が霞んだ。



「乱暴はやめろって言ってんのに」

叫ぶように口にし、シュウが神崎に体ごと勢いよくぶつかった。



不意を衝かれたのか、神崎は呆気なく薙ぎ倒され床に叩きつけられた。仰向けに転がったその上に跨って、シュウは神崎の胸倉を両手で掴み上げた。


ほんの一瞬の出来事。



「僕からコトを奪うなんて、そんなこと絶対にさせない。コトは、お前なんかに渡さない」

まるで獣が威嚇するように唸るシュウの、固く握った拳は怒りに震えていた。



こんな風に声を荒げるシュウも、攻撃的なシュウも、見るのは初めてで、ただ、呆気にとられて眺めていた。


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