シンクロニシティー
包丁を手にしてリビングへ戻った私を、薄く開かれたシュウの目が捉えた。


神崎に激しく殴打され、人形の様に力なく横たわっているシュウ。けれど、その目だけがまるで別の生き物みたいに、カッと見開かれた。



そんなの構わず、鋭利なそれを握った両手をお腹にピッタリくっつけて、神崎を目掛けて突進する。



シュウを守りたかった。

他に何も望んでいなかった。ただ、シュウを助けられたら、それで良かった。



「ダメだ、コトっ!」

弾かれたようにシュウが大声を上げた。


一体どこに、そんな力が残っていたのか……。



振り返った神崎に両手首を捕えられた。そして神崎は、もの凄い力で捻り上げる。


カタンと乾いた音を鳴らして床の上に落ちたそれ。神崎はすぐさま拾い上げ、同時に立ち上がった。


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