シンクロニシティー


 家出したらここへ来ていいってシュウは言ってくれた。

 そんなの社交辞令的なものだってわかっているけれど、それを鵜呑みにするバカな女子高生に成り済ますんだ。



「ん……」

 シュウは眉根を微かに寄せたまま、無理矢理に笑みを作って小さく頷いた。





 母はシュウのことを『遠い親戚』だと言った。
 でもそれ以上は何も教えてくれなかった。


 私がゲームセンターで一人、ウロウロしているところを偶然見付けたと、シュウから連絡を受けたのだそうだ。

 シュウの方は、私のことを知っていたのか。
 『遠い親戚』だから。

 なんだか、狐につままれたような気分だ。


 そして、
 シュウは私の為に嘘を吐いた。


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