色をなくした世界
雪乃の腕から何とか逃れ、雄大は雪乃を見た。



「雪ちゃん・・・本当にごめん・・・」



そう言って言葉を切ると、雄大は雪乃の体を起こし自分の方へと向かせる。



(何か・・・・嫌な事を・・・言われる・・・・)


そう思った。


雄大のこの目を知っている。いつだって何か大事な事を伝える時の目だ。



しかし今日はその目の中に・・・・悲しみが宿っている。



雪乃は聞きたくないと手で耳を塞ごうとするが・・・それを雄大の手によって止められる。



(嫌・・・嫌・・・・聞きたくない・・・・)



雪乃が首降り人形のように首を振る。



「雪ちゃん・・・」



真剣な雄大の声。



(あぁ・・・・聞かなければいけないのだ・・・・)



雪乃はそう確信した。
< 144 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop